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2020 ライスボウル

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ども。

ちょっと遅れましたが、ライスボウル観戦記を。正月休みの合間を縫って行って参りました、東京ドーム。フットボーラーにとっても約束のかの地。

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以前も記事にした通り、対戦カードは2年連続で関西学院大学vs富士通。富士通は4連覇がかかっており、関学は28年間チームを率いてきた鳥内監督の最終戦となる。

東京ドームは、「どこにこんな人がいたのか」と思うほどの人。鳥内監督の最終試合ということもあって関学関係者が全国から集まったのかと思えるほどだった。(実際そうなのかもしれないが。)もちろんアメフトの試合にここまで観衆が集まるのは喜ぶべき事だ。

試合は戦前の予想通り、富士通が圧倒的な地力の差を見せつけ38-14で勝利。関学オフェンスの出来は悪くなかった。ただ、「いける」と思う度に富士通ディフェンスのビッグプレーに飲まれてしまい、それが要所での反則にも繋がった。その中にあって、前半唯一の得点を生んだRB三宅のカウンターピッチによる独走TDは一筋の光明だった。

しかし、関学ディフェンスは全くといっていいほど歯が立たなかった。富士通の第1シリーズにお目見えしたフロントに8人をセットするディフェンス隊形は、相手のエースRBグラントのrunを意識したものだが、すぐさま弱点のパス攻撃で打開され、かなり早いテンポのノーハドルによりムーブメントも入れにくい状況にされた。そもそも関学ディフェンス側も相当混乱しており、セットに手間取っていた。このご時世に8メンフロントは一般的にワイドなフォーメーションに対応しにくい。相手のパーソネルによってルールを決めていたのなら尚更だ。

結果、前半だけで4つのTDを奪われ、そのうちの1つは前述の関学唯一の得点直後にRBグラントが独走で返したもので、関学に与えたダメージは計り知れない。また4TDに要したプレー数はわずか20と一方的な展開であった。

終盤は富士通がメンツを下げたためある程度試合の形になったが、それでも、終了間際に1TD返すにとどまった。ただし関学は最後にオンサイドキック成功からの攻撃でゴール前に迫る意地とプライドを見せつけた。残念ながらTDには至らなかったものの、学生代表として気高く戦う姿勢は観衆に感動を与えた。

一点気になったのは、この試合幾度となく関学にキックオフリターンの機会があったが、リターナーはほぼフェアキャッチで対応していた。私は以前の記事で、ここにスペシャルプレーの策を仕掛けるのではないかと予想したが、全くの逆だった。深く考えすぎかもしれないが、昨年の鳥内監督の発言が気になる。実力の乖離と学生の安全面からライスボウルの枠組みについて疑問を呈した例の発言だ。キックオフリターンはフィジカルで大きく勝る社会人プレーヤーが、全速力で走り込み、その勢いのままブロッカーやボールキャリアと接触する、ある意味もっとも危険な場面と言える。安全面の配慮から、可能な限りフェアキャッチで対処することを決めていたのかもしれない。いや、考えすぎか。。。

結局、今年のライスボウルも富士通の圧勝のうちに終わった。しかし関学に悲壮感はなかった。試合後に相手チームの選手と笑顔で記念写真を撮っている姿などは、やはり勝敗ではないところに意義を見出だしていたのではないかと思う。だからと言って「負けて当然」として試合に挑んだわけでもなく、結果として、観る者に感動を与えたのだから素晴らしい。

今年もおそらくライスボウルのあり方についての議論は再燃するだろう。制度改革は行われるのだろうか。これは日本のフットボール全体のあり方も問われる重要な命題であるゆえ、十分な議論を尽くしてほしい。

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国内のボウルゲームは今週日曜日に甲子園ボウル、月曜日にJAPAN X BOWLが行われ、学生、社会人のチャンピオンが決まった。昨年に引き続き、学生は関学が、社会人は富士通がそれぞれ連覇を達成した。富士通は4連覇で、関学もこの4年間で3回の学生日本一に輝いている。最近アメフトを知った人が、ライスボウルとはこの2チームの定期戦のことを指すのではないかと勘違いしてもおかしくない状況だ。そしてその結果は、決まって富士通が勝つと言うところまで刷り込まれているかもしれない。

昨年は52-17で富士通の勝利。まるで大人と子供の勝負だった。この両者の対戦に限らず、ライスボウルの勝敗は近年、学生が全く歯が立たない状況が続いており、最近はライスボウルの意義が取り沙汰されている。直近で最も学生が肉薄したのは立命館がパナソニックを追い詰め、終盤の4th downギャンブルで劇的な逆転負けを喫した2016年と、関学が終盤、リードした状態でインターセプトを決めるも、僅かな時間で富士通に逆転を許した2015年の2試合だ。いずれも学生の可能性を存分に感じさせる内容だったが、学生の勝利と言う「結果」には至っていない。学生の勝利は2009年の立命館(vsパナソニック)まで遡らなければなく、ここ10年は社会人の勝利が続いているのだ。特に富士通の連覇時代に入ってからはかなり一方的な内容が続き、「真の日本一を決める」という位置付けに疑問提起がなされるようになった。昨年は試合終了後、関学の鳥内監督も学生の安全面からライスボウルの枠組みを考え直すときに来ていると明言していた。2003年の夏合宿で死者を出してしまった当事者が発する言葉だけに重みがあった。

学生フットボールファンである私個人としては、Xリーグを4連覇していることからも、単純に富士通だけが強すぎるのであって、他の社会人チームが相手であれば学生はまだ渡り合えるのではないかと言う僅かな可能性にすがりたい気持ちがあるのは本音だ。だからこそ今年はパナソニックに頑張ってもらい、その検証の年にならないかと思っていたが叶わなかった。

今年も盤石の王者富士通に対し、試合巧者の関学が挑む構図になるが、甲子園ボウルとJAPAN X BOWLを見比べれば、レベルの差は歴然であった。なんなら今年の甲子園で社会人を唸らすプレーを見せたのはどちらかと言うと敗戦した早稲田の方だ。もっと言えば、関西リーグで優勝しながらプレーオフで敗れた立命館のプレー(特にディフェンス)にもそういった要素はあった。

早稲田は学生屈指のパサー柴崎と、同じく学生No .1レシーバーのブレナンによって何度も甲子園の観衆の度肝を抜いた。対する関学ディフェンスはこの個の能力に有効な手を打てず、結局点の取り合いの展開になってしまった。試合後、元京大監督の水野弥一氏が「早稲田はもっとブレナン一辺倒でよかったのではないか。私なら彼と心中するつもりで臨んだ。」という趣旨のコメントを残すほどだった。関学は立命館との戦いにおいても、独走こそあれ、オフェンスドライブを継続して得点に結びつけたのは一度だけであり、随所に強烈なタックルを見せつけた立命館フロント陣の方が目立っていた印象さえある。

これまで関学は組織力と周到な準備で相手の個を粉砕してきた。関学が圧倒的な個の力を見せつけたシーンはあまりない。先の2校に比べて関学が観衆を湧かすのはプレーの多彩さやその完成度。言いかえればプレー全体で驚嘆と感動を与えるチームと言える。「素人に分かりやすい活躍をする早稲田、立命。玄人好みの関学。」そんな表現もできるかもしれない。

もちろん関学がその高い完成度を試合で実現するためには、各プレーヤーに一定レベルの個の能力が備わっていることが前提となっているが、相手が社会人王者となれば、求められる基準はまた一つも二つも上がることになる。ここ最近のライスボウルではそれが及ばず勝負にさえ持ち込めなかったと言うのが実態だ。今から1月3日までに個人能力が大幅に伸びるわけではない。従ってその差は緻密な戦略とそれを遂行する完成度で勝負するしかない。ただそれだけでは例年と同じ結果しか見えてこない。

関学は過去30回学生日本一になりながら一度しかライスボウルを制覇できていない。その一回と言うのは2001年度のアサヒ飲料との対戦だったが、この年にはQB尾崎、TE榊原、DL石田など、単独で社会人と渡り合えるタレントを複数擁していた。そして彼らがベンチの想定を上回る活躍を見せたことが勝利に大きく貢献した。パントフォーメーションから榊原自らの判断で行った中央突破や、尾崎の1人リバースとも言えるQBキープの独走、石田のファンブルフォース。あの当時と比べて今の社会人のレベルはさらに上がっているので単純には比較できないが、少なくとも勝負できる人材がフィールド上で味方も驚くような活躍をすることが勝利の必要条件のように思う。

今年の関学でそれを期待できる人材の候補は今のところ、RB三宅とWR阿部辺りだろうが、JAPAN X BOWL を見た限り、「良くて互角」という印象しかない。これは別の側面から見ると歴代関学の伝統的なチームカラーとして組織力、統率力を重んじるがあまり、個の能力の解放にブレーキをかけてしまっているのではないかとも思う。ライスボウルでは、少なくともこの二人はチームを意識しすぎず、自分の能力を信じて、ある程度身勝手な判断で、自ら勝利への活路を切り開くプレーを期待したい。ベンチも二人にその自由を与えてほしい。それこそ関学に足りなかった最後のピースになる予感がする。

一方、試合を作るために最大の鍵を握るのは、甲子園でブレナンにいいようにやられた関学ディフェンスのワイドユニットである。富士通はブレナン級のレシーバーが3人並んでいると思っても過言ではない。勝って当たり前の立場の富士通としては、早稲田に苦戦していた関学DB陣に対し、序盤からロングパスで仕掛けて、早々に試合を決めてしまいたいという思惑が働くだろう。それに対して関学はいかに守るか。エースレシーバーの中村クラークにダブルカバーと言う奇策も考えられなくはないが、他のレシーバーへのマークが薄くなるリスクをどう見積もるか。そもそもダブルカバーを敷いたからと言って中村に抜かれない保証もない。ファンとしては大胆な策を見てみたいところだが、現実的にはやはりパスの出所を狂わすしか選択肢はないか。

その他、関学が勝機を見出だす上で、効果的な策を労せる可能性があるとすればキッキングゲームである。パントフォーメーションやFGフォーメーションからのトリックプレーは複数用意しているだろうが、それを繰り出すためには最低限のフィールドポジションを確保したい。とは言え、陣地挽回のためにクイックパントを選択するというのは個人的にはないと思っている。あっても一度あるかないかではないか。ディフェンスが絶対的劣勢の中、オフェンスがいかに時間を消費して相手のオフェンス時間を削れるかと言うのが、関学にとってこの試合大きな要素となってくる。費やせる時間を1プレー分犠牲にして先に攻撃権を譲るよりは、3つ(時によっては4つ)の攻撃権を駆使してダウン更新を重ねられる可能性にかけた方がよいと見ている。

また、関学はこれまでの試合、リターンチームによる大技は繰り出していない。今回キックオフリターンの機会はある程度覚悟しなければならない。となれば、ラテラルやリバースなどハイリスクハイリターンの奥の手を用意している可能性は高い。特に一芸に秀でたノーマークの下級生が活躍すると学生のテンションは上がり、場の空気も変わるのではないか。

キッキングに限らずスペシャルプレーは決まることも大事だが、その流れで得点できなければ全く意味がない。スペシャルプレーを決めたのに無得点と言うのは、決められて失点するより精神的なダメージが大きい。特にアップセットを狙うチームは「やはり無理なのか?」というネガティブ思考に支配されてしまう。

と、ここまでは関学がライスボウルでいかに戦うかの夢想を続けてきたわけだが、正直、今年はもっと根幹のところで少し違和感を感じている。それは関学側のライスボウルに対するスタンスである。もちろん勝利を目指して準備を進めているはずだが、いつもと空気感が違うように感じる。学生で敵無しだった数年前は、新チーム始動当初から「社会人に勝つ」ことを目標と掲げ、度々明言してきた。甲子園ボウルで勝利しても「まだ通過点」と言う空気があり、控えめの歓喜が印象的だった。しかし今年は、新チーム始動後も社会人に勝利することについて声高に発する場面はなく、甲子園で早稲田に勝利したあと、笑顔を爆発させ鳥内監督まで笑顔で記念写真に応じた。監督の退任が決まっていたことや早稲田への苦戦を乗り越えたことも大きく影響しているとは言え、今までにない光景に、今年の関学はここが最終目標だったのだと思えてしまった。

前述した通り、昨年のライスボウル後、鳥内監督は実力差の乖離と学生の安全面を危惧して、ライスボウルの枠組みに疑問提起をした。その監督のもと、今年のチームが学生王者を目標とし、ライスボウルではこれまでの取り組みを出し切り、悔いなく安全に終われればそれでよいと割りきっていても不思議ではない。実際、ライスボウル勝利を目標として掲げることは途方もないハードルであることを、ここ数年体感し続けているチームだからこそ、そういう決断に至ったとも考えられる。

実際のところ、内部の人間でない限り関学のモチベーションはわからない。ひょっとしたら、明言していないだけで、実はライスボウルに照準を合わせていると言う可能性も無いわけではない。ただこの違和感は不気味であり、何か予感めいたものを感じる。鳥内監督の最終試合は、ライスボウルと学生フットボールの在り方を左右する分岐点となるような気がする。

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国内戦線もいよいよ佳境。以前から私が注目している学生日本一決定戦「甲子園ボウル」の出場権をかけた西日本のポストシーズンも日曜日がファイナルだった。

例年と変わらず対戦カードは立命館(関西1位)vs関西学院(関西2位)。もう何年この2強時代が続いているだろう。全国に甲子園への門戸が開かれてから、西日本代表を決めるポストシーズンには「ウェスタンジャパンボウルシリーズ」と言うそのまんまの名称が与えられたが、私の周りでこの呼称を使う者はなかなかおらず、浸透しているとは到底思えない(世代のせいか?)。単純に長ったらしい名前ということもあるが、長らく続くこの極端な2強時代の中で、高レベルな勝負を続けてきた「関立戦」の歴史とブランドが偉大すぎるとも言える。ちなみに立命館関係者は関学との試合を「立関戦」と呼ぶらしい。自チームを上にしたい気持ちは分かるし、語呂もこちらの方がよい気がする。なのに「関立戦」が一般的に普及しているのは過去の「関京戦」普及の名残だろうか。

名称の話が長くなった。このウェスタンジャパンボウルが開催されることになってから、西日本では「関立戦」が事実上1シーズンで2回行われることになった。観る側にとってはこの上ない喜びだが、やる方にとってはとんでもない高さにハードルが上がってしまった。そして2回目に勝たなければ甲子園に進めないというカラクリに対しても、戦略とコンディショニングの両面で準備が求められる。

そして今年。1回目の激突となったリーグ戦最終節では立命館が快勝。runプレーの威力と要所のターンオーバーで試合を完全に支配していた。しかし関学も立命館と遜色ない実力を持ち、試合巧者としても定評がある。実力伯仲の両校にあって再戦の結果は本当に予想の難しい対戦だった。ただひとつ有利に働くとなれば、関学が2試合余計に戦ってきた間、十分な休養をとれた立命館のコンディションだった。しかしこのアドバンテージについても試合前日の会見では「中弛みの期間があった」「2週間関学を待つのは気が狂いそうだった」という立命側のコメントが示す通り、必ずしも「メンタル」にプラスであったとは言い切れない様子だった。

そして試合当日、そんな不安要素が的中するが如く、試合は終始関学ペースで進み、そのまま流れは変わることなく、最終スコア21-10で関学が4年連続甲子園ボウル出場を果たした。立命には「らしくない」プレーが多発し、明らかに平常心を失っていた。オフェンス、ディフェンス、キッキング、それぞれで負の連鎖が生じてしまっていた。

関学の第2シリーズ最初のプレー、立命ディフェンスはワイルドキャットからoff Tをこじ開けられ独走TDで先制を許した。フィールドポジションからしても、DBが絡んでTDだけは防がなければならなかった。20~30ヤードのゲインならまだしも70ヤード超の独走TDはあまりにもったいない。rtvライブ配信の解説を務めた立命OB湊さんはこのプレーについて「序盤で熱くなっていたこともあり、立命の選手は目の前のブロッカーとの勝負に夢中になり、ボールキャリアが見えてなかったのではないか」と語っている。

また、後半開始にはリードしている関学が、奇襲オンサイドキックを敢行。立命はあっさりと成功を許した。ここまできれいに決まったオンサイドは初めて見たかもしれない。ボールを確保した殊勲の関学DB北川はワイドオープン状態であり、直前で跳ねたボールを誰と争うこともなく立ったままキャッチした。直後にタックルこそ受けたが、通常のオンサイドとはあまりに掛け離れた光景に、実況席含め、観た者全てが一瞬、目の前の事実を飲み込めずにいた。それほどまでに完璧な成功劇であり、立命側にはこの奇襲に備える意識が皆無だった。リードされて迎えた後半最初のキックオフリターン。ビッグリターンからモメンタムを掴まんとする闘争心がここでも裏目に出た。畳み掛ける関学はこのチャンスを見事TDに繋げ、リードを3ポゼッション差に広げた。

立命はこの他に、オフェンスでも考えられないようなイージーミスを連発。runに絞って前掛かりだった関学ディフェンスを裏プレーから崩し切ることができなかった。キッキングゲームにおいても、無風の中キックオフやパントがアウトオブバウンズに流れたり、リターンチームでも落球や不用意なボールタッチがあったり、集中力に欠けるシーンが多く見られた。試合を通じて立命側には、戦前からのメンタルの不安がいたるところで散見され、それらがことごとく失点に繋がり、得点のチャンスを手放す結果となった。

一方の関学は見事だった。と言うか「出来すぎ」(鳥内監督)だった。独走TDを果たした2つのrunプレーは、パーソネルからして対立命用に準備した特別なプレーであることは容易に想像がつく。試合でもおそらく一定のゲインを見込んでコールされたはずだが、立命ディフェンス相手に2つとも独走TDというのはやはり出来すぎであろう。一方、同様にゲインを見込んでいたと思われるプレーにQB 奥野のrunプレーがあった。この日何度かコールされたが、これには完璧と言っていいほどの立命のマークがついており、結局最後まで有効なゲインは奪えずに終わった。前述の独走プレーはあったものの関学オフェンスは決して安定的にゲインを重ねている訳ではなかった。実際パントの機会は多く、3&out も珍しくなかった。ただしリーグ戦と異なったのは、序盤に14点というリードを得たことで、選手達、とりわけQBがターンオーバーに繋がるようなリスクを極力回避し、安全第一の状況判断が可能となった点だ。リーグ戦ではキャッチアップに向けた焦りから無理なパスを投じ、失点に直結するインターセプトを喫するという悪循環に陥っていた。

またこの日の関学はディフェンスにも安定感があった。リーグ戦でこてんぱんにやられた2RB隊形からのrunプレーをこの日は見事に封じ、立命に前回とは違う展開を強いた。これが結果的に立命のパスミスを誘い、優位な試合展開を後押しした。そして前週神戸大学との準決勝で不安を残したッキングゲームも見事に修正してきた。オンサイドキックの成功はもとより、パントの蹴り合いにおいても確実に陣地を押し込んでいた。

序盤の「出来すぎ」た14点のリードをもとに、ディフェンスとキッキングチームでゲームコントロールとリスクマネジメントをバランスよく行う。関学の真骨頂である試合巧者の部分が最も活かされる展開となった。

上記の通り、立命が見せた隙とそこを見事に突いた関学のしたたかさがこのような試合展開を作った訳だが、私にはもうひとつ重要な要素がこの試合に大きな影響を与えていたように思う。それは審判の判定である。この試合、首をかしげるような判定が何度かあった。もちろん審判の判定は絶対であるし、学生スポーツたるもの判定に抗議するべきでないのは百も承知の上で、客観的な立場だからこそ苦言を呈したいと思う。

まず、立命オフェンスに対するゲインの判定。1Q、7点を先制された立命の3rd down 7。立命の1年生RB 横川がオープンをつき、ダウンボックスを越えるようにサイドラインを出たシーン。映像を見た限り私はフレッシュを取ったものだと思ったが判定は4th down。もちろんアメフトでオフェンスのゲインに対する判定に文句をつけるのは、野球でストライクかボールの判定に文句をつけるのと一緒でナンセンスなのはわかっているが、ここは立命にとっても大事なシリーズであり、3rd down 7をrunで取りきったとなると関学ディフェンスにも考えさせるきっかけとなっただけに大きな判定だったと感じている。

さらに、要所での反則の「見逃し」も、私が気になっただけで3回ほどあった。

2Q、0-14とリードされた立命は、オフェンスでゲインを重ね自陣40ヤードを超えたところまできていた。いよいよ敵陣に入ろうかというところで迎えた2nd down 8。パスを選択した立命だったが関学DEにQBサックを受けてしまう。しかし、このDEはQBとすれ違いそうになり反射的に足を出していた。DEの太もも辺りに接触したQBがそのまま倒れたのだ。当の関学DEもばつが悪そうに周囲を見渡していたがフラッグは飛んでいなかった。立命オフェンスはその後3rd downで残ったlong distanceを取りきれずパントを蹴ることになった。

そして後半、前述のオンサイドキック成功から畳み掛けた関学オフェンスは、ゴール前2ヤードで1st down 。誰もがrunプレーでのパワー勝負を予想していたところ、裏をかいた関学はプレイアクションであっさりとTEへのTDパスを決めた。このプレー、TEとWRが交差することで、TEをマークすべきディフェンダーの走路にWRが入り、マークを遅らせるというデザインだった。しかし実際WRは、「走路に入る」だけでなく、そのディフェンダーとまともに接触してしまい「ブロックする」形になっていた。オープンのrunプレーであれば綺麗なクラックブロックの完成だ。ただこれはパスプレー。オフェンスのパスインターフェアを取られてもおかしくないプレーであったが、ここもフラッグは飛ばずTDが認められた。この接触は故意ではないと判断した上での「判定」だったのか、それとも大方の観客と同様、審判も完全にrunだと思って、文字通り「見逃し」てしまったのか。パスインターフェアであれば罰則は大きく、展開が変わっていた可能性もある。

その後、立命は1本TDを返し10-21と迫るも、直後のオンサイドキックを失敗。だが諦めない立命は、時間消費に重点を置いた関学オフェンスを断ち切り、4Q残り6分強で再度攻撃権を得る。だいぶ厳しいが、まだ逆転の可能性の残る時間帯だ。このシリーズ、2nd down 10のシチュエーション、一刻も早く1本返したい立命はロングゲインを狙った。QBの手からサイドライン際のディープゾーンに向けてロングパスが放たれた。しかしそのボールは関学DBの手に収まってしまった。ほぼ試合を決定付け、関学ディフェンス陣は歓喜に湧く。一方の立命側は悔しさより「反則があったはずだ」という疑念しかなかったのではないだろうか。実はこのプレー開始直前、選手の入れ替えでうまくベンチと疎通ができなかった関学ディフェンスは、プレー開始時までに選手交代を完了できず、フィールド上に12人の選手がいたのだ。正確に言うと1人のディフェンダーは必死にベンチに戻ろうとしたがプレー開始に間に合わなかった。立命のQBがそれを認識していたかどうかはわからないが、仮に認識していたとするなら、相手の反則を前提にリスクのあるパスを投じるのは定石である。しかしここでもフラッグは飛ばず、決定的なインターセプトが成立してしまった。

サックやTDパス、インターセプトと、全て試合の流れを左右するビッグプレーが絡んでいただけに、立命には気の毒と言うしかなかった。タラレバを言ったらきりがないが、これらの反則が認められていたら、また違った展開があったのではないかと考えてしまうのは私だけではないはずだ。

実はこの週、社会人でも不可解な判定があった。社会人決勝の舞台「JAPAN X BOWL」への 出場権をかけたオービックvs パナソニックの対戦。パナソニックが幸先よく先制のFGを決めたプレーで事が起こった。パナソニックのKが40yardを超えるFGを見事成功させたが、この時点でdelay of game の疑いがかけられた。審判による映像審議が行われ、時間内でのプレー開始が認められたことで、FG成功は認められたかに思われた。パナソニックのメンバーはFGを成功させたKとともに次のキックオフカバーの準備に入っていたが、審判は引き続き協議中でなかなか試合が再開されない。審判の協議の輪が解かれ、レフェリーから改めてアナウンスがあったが、その驚きの内容に私も絶句した。なんと「(このFGのプレー中に)審判による不用意なホイッスルがあったため、プレーをやり直す」と言うのだ。どちらのチームからかは分からなかいが、おそらくプレー開始とほぼ同時にタイムアウトの要求があり、それに反応した審判がホイッスルを吹いてしまったのだろう。一度認められたFG成功が取り消され、キックオフの準備をしていたパナソニックのKは、再度難しいFGに挑み直さなければならなくなった。そして再挑戦の結果、無情にもFGは失敗となり、貴重な先取点は幻となった。結果としてこの試合、パナソニックが勝利したからよいものの、このプレーを機に流れが傾き結果を左右する可能性もあった。

シーズン終盤、強豪同士実力の伯仲した試合においては、微妙な判定ひとつが試合結果に直結する可能性もある。だからこそ大事なゲームにおける担当審判は実力と経験が求められ、審判にとっても重要な試合を担当したことがステイタスになると私は認識している。今回のケース、確かにdelay of game とタイムアウトの要求が入り組んだ複雑な状況であった。ただそれを差し引いたとしても、審判の「不用意なホイッスル」を理由に得点プレーをやり直すという結果は非常に残念であった。そしてそれが社会人準決勝という重要な一戦の先制点をめぐる判定であったことに、さらにショックを深めた。

審判も人間であるのでミスは一定の確率で存在する。死角のホールディングなどは見逃してしまうこともあるだろう。選手やベンチもそういった可能性はある程度計算にいれているはずだ。ただ、その判定ミスが勝負の分岐点で発生すると、試合そのものの価値を下げることになる。

判定ミスの結果、不利な立場になったチームは当然、これまでの取り組みを台無しにされたやるせなさを感じるだろうが、逆に判定ミスで有利な立場になり、その結果勝利を手にしたチームにとっても、「審判のおかげで勝った」といわく付きの勝利として扱われてしまえば、結果通りに評価されず、勝者でさえやり場のない感情を抱くことになる。大一番の勝利の価値が損なわれてしまうのはファンにとっても非常に残念なことだ。未だに昨シーズンのNFCチャンピオンシップは終盤の「インターフェア問題」なしには語られない。ラムズファンにとってはうんざりだろう。

アメリカンフットボールという高度で多彩な側面を持つ競技の根底には絶妙なルール設定がある。試合中はルールの番人である審判の存在のもとに、競技の全要素が成り立っている。この競技の素晴らしさが多くの人に理解され、愛されるためには、大前提となる適正なジャッジが必要不可欠だろう。選手が演者であれば、審判の存在は舞台でありインフラなのだ。来週以降行われるボウルゲームでは、もやもやとした感情の残らない清々しい気持ちで試合終了の瞬間を迎えたいと切に願う。

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国内シーズンも佳境のこの時期、フットボールファンは忙しい。そして最も幸せな時期でもある。各地で熾烈な優勝争いが繰り広げられ、レベルの高い試合を拝めるからだ。

以前記事にした関西学生リーグは、ポストシーズンが既に準決勝。私がクライマックスシリーズと表現したトーナメントは、関西リーグ上位3チームと各地方リーグの覇者が甲子園ボウル出場をかけて戦うわけだが、結局は大方の予想通り関西勢のみが生き残った。準決勝は関西2位の関西学院と同3位の神戸大の対戦。もちろんリーグ戦でもあたっているので再戦となる。リーグ戦は17-15と僅差で関学勝利だったが、点差からして再戦すればどっちに転ぶかわからないと思ったファンもいたかもしれない。

ただ、結果は関学の快勝。国立大は経験者の少なさや不十分な練習環境を戦略で何とかするしかない。一発勝負のリーグ戦ならある程度効果を見込めても、格上相手の再戦となると、横綱相撲をとられてしまうことが多い。今回もそんな内容だった。

もちろん神戸大はいくつも凝ったプレーを用意していた。が、それはシーズンに向けて春から準備してきたプレーではなく、おそらくポストシーズンに入ってから準備した付け焼き刃だったのだろう。よそ行きなプレーに終始した結果、およそ自分たちでさえ想定していなかったようなミスで自滅。策に溺れてしまった感が否めなかった。関学側も、思ったより労せず勝てたという印象を抱いているのではないか。

一方勝利した関学は、来週、関西リーグ1位の立命館と再戦する権利を得た。甲子園への道はまだ繋がっている。ただその関学にも心配な要素が垣間見えた。それはキッキングゲームである。まず、TFPを2本外している。その内1本は被ブロック。楽勝の展開だからこそ影響はなかったが、次の立命戦では間違いなく命取りになる。そして次週立命も確実にブロックを狙ってくるだろう。
また、パントリターンも消極的なシーンが目についた。リターナー2枚で構えておきながらボールを見送るシーンに、web配信の解説:小野ディレクターも身内ながら苦言を呈していた。チャレンジャーで挑む上で、キッキングでの陣地確保こそ積極的に臨むべき要素だ。オフェンスで同じヤードをゲインするのがどれだけ大変か。接戦になればなるほどキッキングこそ勝負を分けるポイントになる。

実は同じ日同じ場所。この関学対神戸大の試合のあとに、一足早く、「高校の関立戦」があった。クリスマスボウル出場をかけた関西大会の決勝。関学高等部vs立命館宇治の対戦。試合は序盤の連続インターセプトから主導権を握った立命館宇治が終始リード。ただ、2本目のTDでTFPを外したことが響き、終盤逆転を許す。その差1点。その後、立命館宇治は再逆転のTD。TFPで2ptコンバージョンを成功させ、7点差に。しかし終了間際今度は関学高等部がTD。残り時間からしてTFPでキックを入れれば同点、OTの流れ。2ptを決めればほぼ優勝を手中にできるシチュエーションだ。関学ベンチも葛藤はあったのではないか。その中で関学が選択したのはキック。安全策で同点OTを狙いに行ったが、なんとここでキックを失敗。

最終スコア27-26。1点差。序盤に失敗したTFPを終盤の2ptで取り返した立命。最後のTDでTFPの失敗がそのまま負けに繋がった関学。たかがTFP、されどTFP。たかが1点、されど1点。

この試合、実は中盤にお互い一度ずつ2ptコンバージョンを失敗している。先に立命館宇治が2本目のTDで喫したTFPのキック失敗を取り返すため2ptを狙ったが失敗。その後関学が逆転のTDをあげ、この時点で1点差。1点差も2点差も変わらないため、3点差を狙いTFPで2ptコンバージョンを選択したがこちらも失敗。1点差のファイナルスコアから逆算すると、この辺の駆け引きに勝負の綾を感じる。

来週行われる、大学の関立戦が同じように接戦になるのであれば、関学はまずキッキングゲームの立て直しが急務だろう。1週間でどれだけ整備できるか。そして弟分の無念をどれだけ勝利への熱量に昇華できるか。学生最高峰の戦い第2ラウンドが今から待ち遠しい。

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時間あったので連投。
予告通り日本の大学フットボールについて。全くオードリー関係ないけど。。。若林はたまには学生リーグも見てるのかなぁ。

さて関西学生アメリカンフットボールリーグは先週末天王山の関学vs立命館の試合がありました。毎年この関立戦は学生最高峰の戦いとしてファンの注目を集めており、私も例外なく毎年楽しみにしている1人。たまにあれ?っていう試合のときもあるけどね。
私が学生時代のときは関京の2強から関京立の3強への移行期だったな。昔から関西リーグは客も多くて盛り上がってた。その昔話はまた今度。

で、今年の関立戦を語る前に、リーグ戦の全容から。今年の関西は激戦で、特に神戸大学が台風の目となったね。関大が神戸に負けて、その関大は立命に勝つという、混線模様。最終節で無敗は関学のみだったけど、関学も最後の立命戦に負ければ、順列は2位。

今年の関西リーグは甲子園への道が3位まで広がり、クライマックスシリーズ状態。ここに九州やら東海リーグの覇者も参戦するわけだけど、野球に例えると、クライマックスシリーズに四国アイランドリーグとかの優勝チームが参加できるみたいな、そういうレベルかなと。
で関西の2位と3位はアドバンテージ的なものがなく事実上ほぼ同列に近い。1位の優位性が際立つ仕組みに変わりました。だって1位はポストシーズン1試合でいいし、そのために準備期間もとれることになったわけ。一方で2位と3位は1位と再戦するために2試合勝ち抜かなければならない。

だから、関学も2位じゃ意味ないのよ。立命なんかは負けたら抽選の結果次第で4位(=終戦)の可能性もある。だから関立戦は盛り上がった。

で、試合は立命の快勝。最後までrunが止まらなかった印象だね。関学のオフェンスにも迫力がなかった気がする。

最近思うのが、関学って歴史もあるし、実際負けないから、NFLでいうと絶対王朝のペイトリオッツ的な扱いをされてると思うんだけど、実際ペイトリオッツほどの圧倒的な力を見せつけるわけではなく、あれよあれよと知らないうちに勝ってるって感じ。
特に最近の関学は何か迫力がない。立命や関大の方が威圧感ある感じ。一発の怖さもないしね。

最近の関学は、私たちの時代(かれこれ20年以上前)の中大附属高校に近い。(いきなり高校の例え?しかも東京。) 彼らもフィジカルで圧倒する日大三高にあれよあれよで勝ってた。まさに関学と立命の構図に近いなと。

で、今年の関学はそのあれよあれよが、うまく行きかけたところで、ファンブルロスト。ここがターニングポイントだったね。後半たて直した関学ディフェンスが耐えきれなかった。あれはディフェンスのせいではないよ。(ディフェンス経験者として)

ただ前半止まらなかったrunを後半立て続けに止めた修正力はさすがだね。4DLがオフェンスラインのブロックを強いて深めのLBか1枚自由に動けてた(ように見えた)。あれよあれよのトリックの一角は間違いなくベンチの頭脳だね。

だからこそあのファンブルロストが痛かったよね。そこに漬け込む立命もさすが。おそらく、甲子園出場決定戦もこの2チームの対戦になるでしょうから、これまた楽しみにしておきましょう。

最終結果は以下の通り。

1位 (1位タイ) 立命館  6勝1敗
2位(1位タイ)関西学院  6勝1敗
3位(3位タイ)神戸大学  5勝2敗
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4位(3位タイ)関西大学  5勝2敗

※( )内はリーグ戦上の順位

神戸大学、躍進おめでとう!!

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